歯周病治療

歯周病とは

  • 歯周病とは、歯を支えている歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質)に炎症が起こる病気の総称です。炎症が歯肉だけにある状態を「歯肉炎」といい、炎症が歯肉から歯槽骨や歯根膜にまで広がった状態を「歯周炎」といいます。歯周病の特徴は、気づかないうちに進行していくことです。痛みや腫れが少ないために放置してしまうことが多く、気 がついた時には歯を支える歯槽骨が吸収され、歯がグラグラしたり、ものが噛めなくなり、最後には歯周組織が歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちたりします。歯周病は、多くの成人がかかっている病気ですが、小中学生などの若年層にまでも広がりを見せてきています。また最近では、歯周病が生活習慣病などの全身の病気と関連していることもわかってきています。つまり歯周病は口の中だけの病気ではなく、全身の健康と強くかかわりのある病気なのです。

1, プラーク(歯垢)

歯周病の直接の原因はプラークです。プラークは複数の細菌がコミュニティーを作って増殖したバイオフィルムであり、歯周病細菌は酸素の少ないところを好むため、主に歯周ポケットの中に存在しています。

2, リスクファクター(危険因子)

歯周病の直接の原因はプラーク(歯垢)ですが、「口腔内の環境」や「生活習慣」の中には間接的に歯周病を悪化させるリスクファクター(危険因子)が潜んでいます。歯周病が生活習慣病の一つといわれるのはそのためです。 歯周病予防には、適切なブラッシングでプラークを取り除くことと歯周病のリスクファクターを少なくすることが大切です。

■歯周病のリスクファクター

3, 歯周病と全身との関わり、歯周医学との関連

歯周病はその進行段階によって大きく2 つに分けられます。 炎症が歯肉だけにある状態を「歯肉炎」といい、炎症が歯肉から歯槽骨や歯根膜にまで広がった状態を「歯周炎」といいます。「歯周炎」は進行状態により軽度、中度、重度に分類されます。
「歯肉炎」の段階であれば専門的な予防処置、家庭での歯みがきなど適切なケアを行えば健康な歯肉を取り戻すことができます。
「歯周炎」の段階に入っても歯科医師による治療や専門的な処置などの適切なケアによって、それ以上の進行を防止することが可能です。重度の歯周炎に進行してしまうと、外科的な処置が必要であったり、最悪の場合には抜歯が必要になり、歯を失うことになります。

■歯肉炎

歯肉炎とは、歯周病の中でも初期の段階で、歯ぐきに炎症が起きている状態です。
歯ぐきが腫れたり、歯磨きのときに血が出たりという症状が見られ、この段階では痛みがほとんどないため、症状に気がつかなかったり、「たいしたことはないだろう」と放置したりする人も多いようです。
しかし、放っておけば症状はどんどん進んでしまうので、初期段階でしっかりケアすることが大切です。
歯肉炎は、歯周病の中でも症状は軽度。しっかりケアすれば症状は治まってきます。

  • 健康な歯

    歯肉の色は薄いピンク色で、歯と歯肉の境目の歯肉溝は1~2mm 程度です。この歯肉溝から歯周病が始まります。

  • 歯肉炎の歯

    歯肉溝に歯垢がたまった状態が続くと、歯肉に炎症が起き、腫れて歯肉ポケットになります。歯槽骨は、まだ吸収されていません。

■歯周炎

歯肉炎がさらに進行した状態です。歯肉の腫れや出血だけでなく、歯と歯肉の境目の部分が壊れて隙間が深くなり、歯周ポケット(真性ポケット)を形成します。プラークがさらにこの隙間に沿って侵入すると、根の先の方へとさらに破壊が進行してゆきます。そうすると歯を支えている歯根膜線維や歯槽骨が壊されて、歯がぐらぐらと揺れるようになってきます。症状としては、歯の揺れの他に、歯肉の腫れ、出血、ポケットからの排膿、口臭などが見られるようになります。一般的に慢性歯周炎の病名で、その進み具合から軽度・中等度・重度に分けられます。歯肉の炎症が急激に生じると、急性症状として高度な腫れや強い痛みを伴うことがあります。

  • 軽度歯周炎
    歯肉の炎症がひどくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入、歯槽骨や歯根膜も破壊され始めました。歯周ポケットが形成され歯根に向かって深くなり、歯垢や歯石がたまってきます。

  • 中等度歯周炎
    炎症がさらに拡大し、歯槽骨も半分近くまで破壊が進んでいます。歯がぐらつき始め、歯周ポケットもさらに深くなります。

  • 重度歯周炎
    炎症はさらに根の先に向かって拡大、歯槽骨が半分以上破壊され、歯がグラグラです。

■歯周ポケット検査

  • 歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは、深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して、重症度の判定をします。
    [歯周ポケットの目安]
    1 ~ 3mm : 正常
    4 ~ 5mm : 初期歯周病
    6mm 以上 : 重度歯周病
    検査時に出血がある部分 :今現在炎症のおきている部分

■揺度検査

歯をピンセットでつまんで動かし、どれくらい動揺するかを調べる検査です。歯周病が進行しているほど、歯の動揺は大きくなります。

■レントゲン検査

歯周病が進行すると 歯を支えている骨が溶けて吸収されてしまいます。レントゲン撮影で顎の骨の状態を調べ、骨の吸収度合い(骨密度)を調べます。骨の吸収度合いが進んでいるほど、歯周病が進行しています。

■軽度の歯周病の場合

比較的軽度な症状の歯周病に対して行います。
「スケーラー」という器具を使って普段の歯磨きでは取り除けない、歯に付着したプラークや歯石を除去します。

■重度の歯周病の場合

●歯周ポケット掻爬(そうは)術

軽度~中等度の歯周炎に対して行う外科的処置で、歯肉に局所麻酔を行って歯周ポケット内のプラークや歯石、膿、感染した組織を除去します。

●フラップ手術

中等度以上の進行した歯周炎に対して行う外科的処置で、歯肉に局所麻酔をした後に歯ぐきを切開して顎の骨からはがし、露出した歯根に付着しているプラークや歯石を除去します。又、感染した組織も取り除いていきます。

■セルフケアでできること

歯周病の原因は細菌性プラークです。よってこれを確実に取り除く「プラークコントロール」を修得することがとても大切です。プラークコントロールの基本は毎日の歯磨きです。

自分にあった歯磨きの方法を取得する

1. 適切な歯ブラシの選び方

毛足はストレートで毛束は 3 ~ 4 列ぐらいで
清掃しやすく、通気性のよいもの
(長さ2.2~3cm / 高さ1.2~1.4cm / 幅 1cm 以内)

健康な人は歯ブラシの硬さはやや柔らかめ、
歯ぐきに炎症がある場合は柔かめのもの

2. 磨き方

歯の磨き方の基本は一歯ずつ丁寧に磨く事です。でも、ご自分に適した磨き方があるのです。歯科医師・歯科衛生士に指導してもらい、自分の磨き方を修得しましょう。ここでは、歯周病予防・治療に有効なスクラッビング法とバス法を紹介します。

  • スクラッビング法

    歯の外側(ほっぺた側)は歯ブラシの毛先を歯に直角にあて、軽い力で小きざみに動かします。歯の内側(舌側)は45にあてて同じように動かします。歯ぐきが健康な人向きです。

  • バス法

    歯の外側も内側も、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきのさかい目に向けて45の角度にあて、軽い力で小き ざみに動かします。歯ぐきに炎症がある方向きです。

その他にも様々な磨き方がありますが、歯ブラシの毛先を上手に使ってプラークを確実に取り除くことが大切です。

適切な歯磨きのコツは、歯を磨き始める順番をきちんと決めて、道草しないように順序よく歯ブラシを動かすことです。その都度、自分が当てている歯の形や場所をイメージしながら丁寧に磨いて行きましょう。

3. 歯間ブラシ・デンタルフロス

歯みがきは今や習慣としてしっかり定着していますが、歯と歯の間には歯ブラシだけでは除ききれない、プラーク(歯垢)が残っており、やがて歯周病を引き起こす原因となります。効果的な歯周病対策のためにも、歯ブラシに加えて、歯間クリーナー(歯間ブラシやデンタルフロス)を用いたプラークの除去が大切です。

  • 歯間ブラシ

    歯間ブラシは歯と歯の間にある、歯と歯肉(歯茎)の間の汚れを取るのが目的です。歯間ブラシを使用して、歯と歯茎の間の汚れを取るとともに、歯ブラシでは届かない歯間部の歯茎をマッサージする様に使用すると、歯周病予防に役立ちます。

  • デンタルフロス

    デンタルフロスは歯の間の歯垢を清掃する細い糸のことを言います。歯と歯の間がくっついていて、歯ブラシではどうしても磨くことが出来ない部分を掃除するために使い、虫歯予防に役立ちます。

歯間ブラシは歯周病予防を目的として、デンタルフロスは虫歯予防に使用します。
歯間ブラシもデンタルフロスも正しい使い方や適切な種類・サイズがあります。
これらを間違えると歯ぐきを痛めり、傷つけることになるため、まずは歯科医院で使用方法などについてアドバイスをもらうことが大切です。

まずはお気軽にご相談ください。ご予約は下記診療時間にて受付けております。

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